2013/08/23
  • 理科(生物)
  • 学習素材

海の不思議な生き物~陸にあがった海産魚トビハゼ~

 干潟の泥上を這い回る魚として有名である。陸上に出ている時間が大半を占める。胸鰭で這う他に、カエルのように尾鰭を使ったジャンプでも移動する。眼球は頭の上に突き出て左右がほぼ接し、平坦な干潟を見渡すのに適応している。胸鰭のつけ根には筋肉が発達する。通常の魚類は鰓(えら)呼吸を行い、代謝によって発生するアンモニアを水中へ放出する。このため空気中では呼吸ができない上にアンモニアが体内に蓄積され脳障害などを起こす。しかし、トビハゼは皮膚呼吸の能力が高い上にアンモニアをアミノ酸に変える能力があり、空気中での活動が可能である。水分は口から摂取し、余分の塩は胸鰭の下の皮膚からも排出するとされる。淡水にもある程度適応できる。干潟につくる巣穴の中の水が貧酸素状態になることを、空気を口に含んで持ち込み空気室を作ることにより防いでおり、卵もこの空気室の天井に産むとされている。カエルと異なり、魚類としての能力をうまく摘要している。
 ピョンピョンハゼ(高知)ネコムツ(九州地方)カッチャン、カッチャムツ、カッタイムツ(佐賀)カタハゼ、ムツゴロ(熊本)トントンミー(南西諸島)等と、各地で親しまれている。地域によっては食用にされる。かつて諫早湾の南岸地方では夜に眠っているトビハゼを灯火で脅かし、網に追い込んで漁獲し、煮干にして出汁としていた。鑑賞魚としても流通している。
 一方で、環境汚染や埋め立てなどによる泥干潟の消失で、特に都市近郊で生息地が減少している。日本の環境省が作成した汽水・淡水魚類レッドリストでは、1999年版で絶滅の恐れのある地域個体群(LP)として「東京湾のトビハゼ」「沖縄本島のトビハゼ」が掲載されたが、2007年版では日本産全体が準絶滅危惧(NT)として指定された。同じく干潟の上を這い回る魚にムツゴロウもいる。