2013/08/23
  • 理科(生物)
  • 学習素材

海の不思議な生物~薄っぺらい不思議な生き物、扁形動物ヒラムシ~

 ヒラムシは、磯の石の下に生息する扁形動物門渦虫綱ヒラムシ(多岐腸)目に属する動物の総称。日本沿岸ほぼ全域の潮干帯に広く生息する。体は楕円形・ひも形などで背腹に平たく、軟らかい。表面は繊毛に覆われており、粘液質で包まれる。滑るように岩の表面などを這って生活している。ちょうど落ち葉のような外見をしていて、一見、発見が難しいが、転石をひっくり返して、根気よく観察した後、目が慣れてくると容易に発見できるようになる。ちなみに、外見はナメクジやウミウシなどの軟体動物に似ているが、全く別物である。
 種類にも寄るが、大きいもので、体長5センチメートルを超えるもの[オオツノヒラムシ(写真)(Planocera multitentaculata)など]、また小さいものでは、巻貝(イシダタミなど)と共生し、貝殻の中で生活している、体長2−3ミリメートル程度のもの[カイヤドリヒラムシ(Stylochoplana pusilla)など]もいる。
 再生能力が高いことから高校の生物の教科書にでてくる、かの有名なプラナリア、あるいは我々人間の腸内に寄生するサナダムシと同じ扁形動物の仲間である。肛門をもたず、腹部中程にある口から取り入れた食物を消化、吸収を行い、再び口から排泄を行っている。脊椎動物などを含む真口動物(内骨格系)と、無脊椎動物などを含む旧口動物(外骨格系)との分岐に最も近いと考えられており、進化学的には最も原始的な旧口動物に位置すると考えられている。左右相称の体を持ち(ウニ、ヒトデなどは放射相称で、分散神経系)、原始的ながらも既に神経系がひとつに中枢化しており、体の前方に眼とともに脳(脳神経節)が存在する。そのため、前後左右の区別ができる最も原始的な動物とも言える。その名のとおり、平たく薄っぺらいので、ガス交換は単純に拡散作用によって酸素を取り入れている。従って、呼吸器系、血管系、および骨格系などの体制は持ち合わせていない。
 雄と雌の区別がない雌雄同体である。多くの場合、同一個体に精巣と卵巣をふたつ持っている。他の体制が存在しない、あるいはあっても極めて単純であるのに比べて、ヒラムシの生殖系はいちじるしく複雑であり扁形動物のなかでもその体制は多岐におよんでいる。なお、幼生は浮遊生活を送ることが多い。
 写真は、岡山県牛窓沿岸で採取されたオオツノヒラムシ。眼点の上にツノ(角)のような構造を持つためそのような名前がついている。なお、「オオツノ」の由来は、角が大きいわけではなく、多く(4本)の角を持つためである。