2013/08/23
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海の不思議な生物~メスからオスへ性を換えるベラ~

 身近な海に多く生息するベラ科魚類をモデルとする事により、我々人間と異なり、魚類では多様な生殖様式が存在する事を知ることができます。

海の不思議な生物~メスからオスへ性を換えるベラ~
・ 性(メス・オス)ってなに?
 私達の身近に存在する生物にはメスとオスの二つの性があります。メスは卵を作り、オスは精子を作ります。この卵と精子が一緒になって子孫が誕生します。私達(哺乳類)の場合、生まれた時にすでに性が決まっていて、一生の間に性が変わることはありません。
・ 性転換するベラ
 ベラという魚が広く日本の沿岸域でたくさん観察されます(例. 岩礁域:ホシササノハベラ。砂底:キュウセン)。ベラはメスとして生まれてきて、大きくなるとオスに変わります。このように一生の途中でオスになったりメスになったりすることを性転換といいます。
ベラ科の一種であるキュウセンの写真:上がオス、下がメス。性転換に従って体色が変化する

・ どんなときにベラは性転換するのか?
 大きなオスはなわばりをつくり、そこにやってくる複数のメスと一緒に産卵を行います。この大きなオスが死亡すると、なわばりの中にはメスばかりになってしまいます。その時、一番大きなメスがオスに性転換をします。

ベラが性転換する過程:通常、ベラは一匹の大きなオスがなわばりを形成し、なわばり内のメス達と繁殖を行っています。このオスが死亡してしまうことにより、なわばりの中で一番大きなメスがオスへ性転換します。
海の不思議な生物~メスからオスへ性を換えるベラ~

・ なぜ性転換するのか?
 オスとしてなわばりをもち、たくさんのメスと交尾することができれば、自分の子供を多く残すことができます。しかし小さいオスでは、なわばりをつくることができず他のオスに負けてしまうことから子供をつくることができません。だから、一生を通じて自分の子供をいちばん多く残すためには、小さいうちはメスとして卵を産んで、なわばりを作れる大きさになったときに、オスに変わった方が都合がよいと考えられています。

・ 他の性転換する魚たち
 約300種類のさかなが性転換することがわかっています。その中には川の魚も含まれています。また、性転換のきっかけもベラのように環境によるものも あれば、年や体の長さによるものなど、魚によってちがいます。さらに、卵巣と精巣を同時に持って卵と精子の両方を作り、卵を産む相手と交代で卵と精子を出 し合う魚もいます。このように魚にはいろいろな”性のかたち”があり、私たち生き物の”性”のしくみを知るためのとてもよい研究材料になります。