2013/08/23
  • 理科(生物)
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海の不思議な生物~生息環境に適応した形態~

海の生物は,陸上の生物と同様に生息する環境に適応した形態的,機能的な特徴をもっていることについて調べることができます。
・ウニの中には,平べったい殻を持つ不正形ウニ類(カシパン類)と呼ばれる仲間がいます。食用となるような一般に目にするウニと違って一見すると棘は目立ちませんが,表面は短い棘にびっしりと覆われています。
・カシパン類は浅海域の砂底を生活場所としています。浅海域は波浪によって砂が動く不安定な環境であることから,カシパン類の平べったい殻は,砂の表層で安定して暮らすことへの適応と考えられています。
・また,カシパン類では,口が砂に接する下側の中央部にあり,砂に含まれる有機物や微小生物を集めて食べています。カシパン類の腹面には放射状に溝があり,この溝を通って食物が口に集まります。この作業は,管足と呼ばれる先端に吸盤を持つ細い管によって行われます。腹面だけでなく,背面にもたくさんの管足があり,体全体を使って食物を収集しています。したがって,平べったい殻を砂の表面に置いて生活することは,広い範囲から食物を集めるのに好都合といえます。
・カシパン類は一ヵ所に留まるのではなく,移動しながら食物を集めて生活しています。砂の上にカシパンを置いて観察すると,ある一定の方向に動く様子が見られます。動きのスピードはゆっくりですが,前進方向の殻の縁に砂の盛りあがりができるので,その移動に気付くことができます。また,移動に伴ってカシパンの背面にも砂が這いあがり,ベルトコンベアーに乗せられたように後ろに移動していきます。
・以上のように,独特の殻の形態は砂の表層で暮らすことへの適応と考えられています。
・強い波浪や何等かのアクシデントによって裏返ってしまったカシパン類は,そのままでは口から食物をとることができず,死んでしまいます。よって,自身で元の位置に戻れるようになっています。
・裏返して砂の上に置き,様子を観察してみます。裏返ったカシパンは進行方向の前縁を砂に斜めに差し込み,そのまま潜っていきます。深く差し込んだまま回転を続け,殻を直立させます。さらに回転を続け,進行方向の前縁を先頭にして再度砂に潜り始め,やがて口を下にした元の状態に戻ります。このような行動も砂地に生息することによる適応的なものと考えられます。
海の不思議な生物~生息環境に適応した形態~