2013/08/23
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海の生物の多様性と進化~寄生性貝類の多様性~

海の生物の多様性と進化〜寄生性貝類の多様性海にも様々な環境があり,それらの環境に適応した様々な生物がいることについて調べることができます。寄生生物を例として,その多様性を解説します。
寄生と聞くと他の生物から栄養を取って生活するという悪いイメージを持ったり,気持ち悪いと感じたりすることが多いですが,親しみやすい貝という生物群を通して寄生という現象を見ることで,考えを深めることができます。
・寄生とは,2種の異なる生物の相互関係の一つで,一方(寄生者)が利益を受け,一方(宿主)が何らかの害を受けている状態を言います。利害は主として栄養的なものですが,その利害よりも寄生者が宿主を生息場所とする空間的関係に重点を置いて定義されることもあります。
・ハナゴウナ科の巻貝(以下,ハナゴウナ類)は,ウニ,ナマコ,ヒトデ,クモヒトデなどの棘皮動物に寄生して生活しています。日本からは約200種が知られており,そのほとんどが殻高5 mmほどの微小な巻貝です。
・ハナゴウナ類の多くの種は,特定の1ないし数種の宿主に寄生しており,これを宿主特異性と呼びます。その場合,和名には宿主の名前が多く付けられます(クロナマコヤドリニナ,カシパンヤドリニナ,ウミシダヤドリニナ,トゲモミジヒトデヤドリニナなど)。
海の生物の多様性と進化〜寄生性貝類の多様性・ハナゴウナ類の宿主への依存度は様々で,内部寄生,半内部寄生,外部寄生などがあります。
ヨツアナカシパンに寄生するカシパンヤドリニナは外部寄生者で,貝の口にあたる器官である吻を宿主に差し込んで,体液を摂取すると考えられています。
アカモンヒトデに寄生するカタハリヤドリニナは半内部寄生する種です。ヒトデの腕に作ったこぶの中に身を置き,腕の中で吻を伸ばします。何等かの形で宿主から栄養と得ていると考えられます。

ヒモイカリナマコに寄生するヒモイカリナマコツマミガイは内部寄生者で,同じく吻によって宿主から栄養を得ていると考えられます。
この他に,さらに寄生の程度が進んで宿主の内部に完全に入り込み、貝殻を失って体の構造を特殊化させているものもいます。動き回る必要もなく,栄養も常に得ることができる,繁殖に特化した究極の寄生生活といえます。

海の生物の多様性と進化〜寄生性貝類の多様性・以上の例はハナゴウナ類の一部であり,この他にも多様な寄生様式を持つ種がいます。また,ハナゴウナ類は寄生様式に応じた様々な形態の貝殻をもっています。外部寄生と内部寄生のハナゴウナ類を見比べると,寄生様式と殻形態の関係を考察することができます。
・寄生様式や殻形態だけでなく,宿主に応じた寄生戦略や生活史を持ちます。ハナゴウナ類における多様性を通して,それぞれの環境で独自に共進化が起こっていることが感じられます。