2013/08/23
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海の生物の多様性と進化~性転換をするエビ~

20130823c.jpg 海には様々な環境があります。そこに生息する生物はそれらに適応した生活形態を持っていると考えられます。
 タラバエビ属は、寒帯やその深海を主な生息域とすることが多いエビの仲間です。雄性先熟の性転換をするという生態的な特徴を持っています。トヤマエビという深海性の種類を例にとると、生まれて最初の1-2年は雄、その後は雌となることが多いです。
 性転換をすることの理由として、深海では餌となる生物が乏しく、種の保存という観点では、体の小さい時期から繁殖に関われる方が有利であるという考え方があります。また、卵を持つためには多くのエネルギーが必要となります。餌の獲得の面で多少不利な小型の時期には雄として繁殖に関与し、成長して多くの卵を作ることができるようになってから雌に性転換して繁殖に関与することで、餌の少ない深海という環境に適応、進化してきたと考えられています。雄と雌が別々に生まれるよりも一つの個体が途中で性転換する方が、トヤマエビの場合は効率良く子孫を残せると推定されます。
 日本で漁獲されるタラバエビの仲間には先に挙げたトヤマエビの他、ホッカイエビ、ボタンエビ、ホッコクアカエビ(甘えびとして知られているものです)などがあります。いずれも食用として重要な種類です。一般的に市場において価値が高いとされるのは大きくなったもの、すなわちタラバエビの仲間ではメスになります。そのため大きなエビを獲りすぎてしまうと資源の維持が出来なくなってしまいます。調査によって資源量や生態を把握して、適切な漁獲量や大きさを取り決めたり、卵を持ったエビの再放流を取り決めたりすることによって、資源の維持を図ることができると考えられています。