2013/08/23
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海の生物の多様性と進化~甲殻類の幼生について~

海の生物の多様性と進化~甲殻類の幼生について~ 海に生息するカニ、エビ、ヤドカリなどは甲殻類の中の十脚目というグループに分類されます。幼生の時期は成体とは大きく異なった姿をしており、脱皮や変態を繰り返して成体のそれに近づいていきます。
 十脚目の生き物には様々な種類がありますが、ごく初期のノープリウスという幼生の時期は比較的共通した形を持っています。この時期は眼が一つしかなく、脚の数も少ないです。ノープリウス幼生の時期を卵の中で過ごし、ゾエア幼生としてふ化する種類もあります。この違いは、受精卵を海中に放出するか、お腹に抱卵するかの違いによります。
・かに類
(卵ノープリウス)→孵化→ゾエア幼生→メガロパ幼生→稚ガニ
・いせえび類
(卵ノープリウス)→孵化→フィロゾーマ幼生→プエルルス幼生→稚エビ
・くるまえび類
孵化→ノープリウス幼生→ゾエア幼生→ミシス幼生→ポストラーバ幼生→稚エビ
 初期の幼生はプランクトンとして海中を漂っていますが、変態や脱皮を繰り返すことで餌を獲る能力や泳ぐ能力を身につけていき、成体と同じ形をした稚エビや稚ガニへと成長します。それに伴って浮遊生活から底生生活へと移行していくことができます。
 こうした幼生はしらす干しに混入していることもあるので、興味のある人は注意深く観察してみましょう。産地や時期によっては混入が少ないこともあります。
 十脚目の仲間でも淡水に生息するザリガニやサワガニなどでは、これらの幼生期を卵の中で過ごして稚エビや稚ガニになってから孵化します。卵はその間に必要な栄養を含むために大きく、産卵数は少ないという特徴があります。このような変化は海での生活から淡水での生活への適応に関連があると考えられています。
 甲殻類の仲間にフジツボという生物がいます。成体は富士山型の形状をしており、磯の岩場や波消しブロック、防波堤などに付着しています。移動することはなく、海水中のプランクトンをろ過して餌とします。この幼生にはノープリウス幼生とキプリス幼生とがあります。前者は浮遊性で海水中を泳ぐことができます。後者は泳ぐ他に物の表面を匍匐して移動することができます、すなわち幼生期には付着場所を探して付着することに適した体の仕組みを持っているといえます。

海の生物の多様性と進化~甲殻類の幼生について~